top of page
運ばれるバケツ、海馬を泳ぐ
2024.5.13~2024.5.26
現代美術家の婦木加奈子さんが2024年5月に2週間滞在された。AIRをスタートさせて、初めて滞在して頂いたアーティスト。
婦木さんは「土を神石高原町田頭の土を使って作品を作りたい」という思いを持って滞在された。その思いを地域の方に伝えると「昔は瓦屋があった」と聞いた。瓦屋があった場所の土を使って土器を焼いた。その他にも色々な土を使って土器を焼いた。80後半になる方が昔、母からうちの(土地の)土は白く焼け、良い味わいになると聞いたことがあると伝えてくれた。
婦木さんの滞在は地域産業の歴史や地域の方の記憶を呼び起こすきっかけになったのではないか。婦木さんは滞在中、地域の方に向けて何かしたいと閃き、焼き物をつくるWSを開催してくださった。地域の方も楽しく参加してくださった。それだけでなく、地域の方が「この思い出を残しておきたい」という思いから、婦木さんが滞在中につくった土器を購入していた。この地域は農業を営むことで生きながらえてきた。<ものを作って売ること>の価値を知っているのだと感じた。
私も含めて婦木さんも、作品をつくったとかアートプロジェクトを遂行したという感覚を得られなかった。
それは、私たちがバケツリレーのバケツのように地域の人や土地の資源に運ばれ、彼ら彼女らの海馬の海を泳ぎ、新たな記憶となっただけという感覚があるからだ。
<作品をつくる>ということの意味を問い直してもらったような期間であった。










bottom of page